プレイヤーをやる気にさせる実績(後編)
先日の続きです
- 原典: Unlocking Achievements: Rewarding Skill With Player Incentives GAMASUTRA
- URL: http://www.gamasutra.com/view/feature/3976/unlocking_achievements_rewarding_.php
Skate のケース、プレイヤーの誘導
- 実績は時に交通整理のような役割を果たす
- 実績がなければ使われないかもしれない新機能を体験するようプレイヤーを導く
- EAのSkateチームは、同タイトル向けに非常にしっかりとしたコミュニティサイトを立ち上げた(Skate.Reel)が、プレイヤーが自然にそこに集まってくれるかどうかを心配していた
- そこでEAが取った対策は「Skateセッションの写真や動画をアップロードすることを実績にする」ことで、プレイヤーが自然にサイトへアクセスしてくれるようにすることだった
- しかし、コミュニティへの参加を促すために追加された一部のオンライン実績は、ゲーム自体から離れすぎており、またプレイヤーが何も手出しできない内容だった (Skate Celebrity:アップロードしたフォトがムービー1つで20レビューをもらう)
Brian Lindley氏(Skate 2 プロデューサ)
- あのタイトルの実績の一部はフェアとは言えないものだった
- プレイヤーからは、実績が全体的に難しすぎて解除できないという苦情も受け取った
- 初代Skateでは実績がオンラインプレイに偏りすぎていた、あれは手痛い教訓になった
- Skate 2を発売することになったとき、実績はゲーム全体に満遍なく配置しようと決めた
- 次作で実績を解除しやすくするのであれば、割と気前良くやろうと思っていた
- 自分たちのゲームは広大なオープンワールド系ゲームで、プレイヤーができることは山ほどある
- キャリアモードを一通りクリアしたら、そこで400ポイントくらいは解除してるべきだ
- 一方で、1000ポイントすべて解除するならチャレンジ全制覇するくらいはしなければいけない
未踏の領域
- Naughty DogのUncharted: Drake's FortuneはPS3で初めてトロフィーに対応したタイトルのひとつ
Richard Lemarchand氏(リードデザイナ)
- トロフィー対応パッチをリリースしたら、ゲームを遊び終えていたプレイヤーが戻ってきてくれた
- プレイヤーはトロフィーを獲得することを喜んでくれているが、それだけにとどまらない
- ゲームにプラスアルファをもたらす
- ゲームに楽しさの風味付けをする
- あらゆる種類のプレイスタイル(探索、タイムアタック、完全マスターなど)に褒賞を用意できる
- そして、ゲーム内でプレイヤーが達成してきた「物語」を紡ぐツールになる
- Uncharted のトロフィーは48個
- ユーザーがそれを喜んでくれたのを目の当たりにし、より真剣にトロフィーについて考えるようになった
- 独自の、プレイヤー関心をつかむトロフィーを探して
- 訳注:インタビュー時にはUncharted 2のトロフィー案についてブレインストーミングしていたそうです
- Lemarchand氏は「トロフィーを獲得するためにプレイヤーにとって不自然なプレイスタイルを強いてしまうのではないか」と心配している
- そうなってしまっては、トロフィーを獲得するためにタスクを片付けていく、というネガティブな影響しか与えなくなる
- 一方で、そういったトロフィーも習慣や思い込みを壊す効果を併せ持っているのかもしれない
- 一番プレイヤーが気にかけるトロフィーは、プレイヤースキル(戦闘スキル、踏破(行動)スキル)を試すもの
- Lemarchand氏の個人的なお気に入りは、グレネード1発で敵を3体倒すと解除される「Dyno-Might!」
- これは偶然取れることもあるけれど、一番気持ちいいのは狙ってやったとき。しっかりとした予測に基づいてか、幸運によるかは置いておいても
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- こういったプレイヤースキルで勝ち取るトロフィーが持つ「重み」は、あるチェックポイントを追加したときに得られるトロフィーとは違う
- 「プレイヤーが自分だけのゲームエクスペリエンスを進めていく過程で成し遂げたことに対して褒賞を与え、それをディスプレーするシステム」はゲームデザインを新しい世界に導く出発点
- 「実績システムとうまくやっていく」ということは、すなわち「つながり」を通じて「ゲームのソーシャル性(訳注:直訳で社交性、ここでは他者とのつながり的な意味)を高める」こと、そして「これまでゲームの歴史に存在してきた制限を壊して抜け出すこと」
- 人間は根本的にソーシャルな動物であり、また遊び心を持った動物でもある
- ほとんどの人はソーシャルグループに参加したい、その中にいるところを見てもらいたいという強い気持ちを持っている
- トロフィーはそれを具現化するもの
もっとソーシャルに
- もしあなたが実績やトロフィーなどについて「コアゲーマーの趣味」だと考えているなら、それは間違い
- Pogo.com といったカジュアルゲームポータルではBudgeがアクセス頻度の向上に役立てられている
Juan Gril氏(カジュアルゲーム開発会社Joju Gamesのスタジオマネージャ)
- 実績についてはカジュアルゲーム界隈とコンソール界隈でひとつ大きな違いがある
- コンソールゲームの実績はふつう特定の目標(レベルxx到達、敵xx体撃破など)に関連付けられている
- カジュアルゲームの実績はもっと獲得しやすい
- 例: ゲームを20回プレイする/休みの日に数時間ゲームする
- 実績の計画は「クレバー」にやらなくちゃならない
- 第一に、実績はゲームをくまなく見てもらうために機能しなければだめ
- ゲームの全コンポーネント(シングルもマルチも)を網羅しないとだめ
- 実績はポイントだけに頼っては駄目
- 見た目も楽しめるものにすることが大事
- 実績をコレクションする楽しみを生み出さなくては!--名前はちょっとひねってあったり、名前で内容が分かるようなものが良い
- そうすれば実績について他のプレイヤーと話す機会が生まれる、ひいてはゲームについて話してもらえる
ラップを数えて
- Turn 10 Studiosは、ゲームの進捗を表す「視覚的にわかりやすいスナップショット」として実績を利用している
- フレンドもライバルも開発者も、そのプレイヤーがキャリアモードでどこまで進んだのか、あるいは車を何台購入したのかをひと目で確認できる
Bill Giese氏(Turn 10 シニアゲームデザイナ)
- 実績は諸刃の剣。ある画面に入ったからといって実績をあげたくはないけれど、ある機能だけに何時間も何時間も費やして欲しくはない
- できれば「この機能がなんで楽しいのか」をしっかり示せた段階で実績が解除され、プレイヤーがその後も対象の機能を遊んでくれる、というのが望ましい
- Turn 10にとって実績は、単にプレイヤーにGamerscoreを提供するものではなく、タイトルの一番おもしろい要素を把握するための重要なデータセットでもある
- 次作にそれを活かすために
してはいけないこと
Richard Lemarchand氏、Naughty Dog
- 無意味な実績を作らない
- xxを1000個集めろ、という実績はプレイヤーにとってフェアでないし楽しくもない
Infinity Ward
- 失敗に対して褒賞を用意しない、下手こいたときに解除される「実績じゃない実績」を作らない、全然「実績」じゃない事項に褒賞を用意しない(Robert Bowling氏)
- 実績を得るために「あるレベルで連続xx回失敗」したいプレイヤーなど存在しない、全然生産的じゃないし、実績というものの定義を外れてる(Zeid Rieke氏)
Juan Gril氏、Joju Games
- 解除できない実績を作らない
- プレイヤーのスキル幅を考慮してポイント配分を均等にする
- ゲームをマスターしないと解除できない実績ばかりのゲームは、コアゲーマー以外に訴求しない
- 得点やハイスコアに直接関連付けない
- 「すべての実績を解除するためにはゲーム全体を遊ばなければならない」という考えを実践するには、「目標達成」、「ゲーム全体を遊ぶ」、「ハイスコアを獲得する」、その全ての達成事項に対して褒賞が用意されていなければならない