Bonus Round 402: ゲーム業界の現状: Part 1 - 4

LYE からの注意書き

  • このアーティクルは Gametrailrs.com で公開されているディスカッション番組、Bonus Round #402 を LYE が聞き取って、勝手にかいつまんで翻訳したものです。
  • できるだけ間違いのないように聞いたつもりですが、聞き間違いや誤訳があるかもしれません。もしお気づきの点がありましたらコメントまたは Twitter Reply でお知らせいただければ幸いです。

オリジナル URL

司会
パネル
  • Michel Patcher (Wedbush Securities ゲームアナリスト/@michaelpachter ただしほぼ活動なし)
  • Jason Rubin (Naughty Dog 共同創立者/@Jason_Rubin)
  • Shane Satterfield (GameTrailers エディターインチーフ/@Dinfire)

Part 1 2009 年のゲーム売上不振について

Geoff: 2009 をどう思う?
Jason: ゲーム業界の現状は、一歩引いて俯瞰視点で見ないといけない。今僕たちが作っているゲームはゲームの歴史のなかで最高の水準にある。いちゲーマーの視点から見たとき、ゲームの生み出しているエンターテイメントは、本当にさまざまな人に楽しまれている。ゲーム業界が現在進んでいる方向は正しいものだと思う。CoD MW2 やアンチャーテッド 2 など、ひとつのゲームがこれほど多数のプレイヤーにプレイされていた時代はこれまでにない。

そしてタイトルが売れなかったことについてパブリッシャを責めたくない。映画業界でも時にろくでもない映画が作られ、商業的に失敗する。だがそういうものの中から革新的な映画も生まれてくる。たとえば Sabotour。あのゲームが業界を根本から変革するものであった可能性もなかったわけじゃない。だからリスクを取ったことについて責めるべきじゃない。ゲーム業界がリスクを取ることをやめたら、状況はより危険になるだろう。予算がどんどん膨れ上がり、それを注ぎ込むタイトル数はどんどん絞られていく。そうなったら飽きられる。それは自然なことだし、僕たちは受け入れなくちゃいけない。Tony Hawk はもう 10 年近く続いているシリーズだ。だから飽きられる。そういったタイトルに置き換わる新しいものを作らないと、つまりリスクを取らなければ大きな問題にぶち当たることになる。

もう一点、ゲーム業界についての予測を立てる場合は、全体を見ないと意味がない。何が拡大しているのかを見ないと。iPhone ゲームとかは、もうホットケーキみたいに売れている。遊んでいるユーザーたちはトータルで見てすごい金額を費やしている。「自分の意思で」ね。なんでわざわざこう言うかというと、そういうゲームは基本的にプレイは無料だからだ。だからこういうエリアも視野に入れていかないと。全体で見ればゲーム業界の状態はヘルシー (健全) と言えるだろう。市場規模の面でも、こういう分野までカウントに入れれば 10 % アップくらいはいっていると思う。

Shane: 革新的なゲームの持つ役割のひとつに、話題を作るということが上げられると思う。USA Today とか MSN.com、Yahoo.com の見出しを飾るようなタイトルがあると、たとえそのタイトルが売れなかったとしても、普段はゲームに触れていない人にもゲームについての情報が伝わる。そうすると、見出しを飾ったタイトルには興味がなくても別のタイトルを気に入って買ってくれることがある。あと、特定のタイトルがヒットすると同じようなゲームが乱発されるねえ。去年だって MW みたいなゲームがたくさん出たけれど、モンスターみたいに売れたソフトが 1 本あるとその他は全然売れない。それはパブリッシャにとっても小売店にとってもうれしいことじゃない。これは売り上げ低下要因のひとつだと思う。
Michael: それはゲーマーにとっても不幸だ。たとえば近代戦 FPS が 18 本あっても多様性に欠けるし、頭数を揃えるためのゲームが何百本あっても意味がない。
Jason: 映画と違うところは、担当したタイトルが売れなかったら次にチャンスをもらえないことだろう。スティーブンスピルバーグだってひどい脚本の映画を撮ったけど、彼は映画を作り続けられる。

Part 2 ビジネスモデルの変化、マイクロトランザクションの形について

LYE メモ: マイクロトランザクションは MMO RPG などでは多くの場合「アイテム課金」を示す用語として使われますが、ここでは本来の意味である小額決済の意味で、パッケージ販売の対義語のように使われていました。
Jason: FacebookiPhone ゲーミングの分野では大きな変革が起きつつある。そしてゲーム業界にはそれを受け入れなければならない理由がたくさんある。ゲームの値段は固定の先払いでなく、もっと気軽に始められるようにしたほうが良いと思う。あるいはプレイは無料にしたほうが。これは 1 ステージ遊べますよという体験版の話じゃなくて、文字通り、ゲーム全体をプレイ無料にするという話だ。気になるゲームがあるときに 60ドル払うんじゃなくて、まず小額、ないし無料で遊んでみて、気に入ったらどんどんお金を払うというモデルのことだ。

Facebook ゲームではこれが起きている。もちろん課題もある。それは理解している。ゲームデザインの観点から見たときのね。ただ無料でゲームを提供してプレイヤーが好きなように追加料金を払うモデルのほうが収益的には増えるし、業界自体も健全になるし、各ゲームのプレイ人口を増やすことにもなると思う。

Shane: 月額課金制の場合、ユーザーはいつ期限が切れるか気にしなければならないし、さらに更新するかどうかも考えなければならない。結局 5 日間家にこもり、世界から断絶された状態でゲームしまくるなんてことになったり。これは全然理想的な形ではない。俺はちょっと時間が空いたときにサクっとゲームしたい。
Jason: つまりゲームをプレイすることに課金するんじゃなく、ゲームを望みどおりにプレイするために課金する必要があるんだ。

これはオンライン業界を変える要素だと思うから、少し整理させて欲しい。今、ユーザーは 60ドル払って全部の武器を使えるゲームを買う。そうじゃなくて、ゲームは無料で始められて、ゲームを進めるうちにゲームプレイを良くするためにお金を払うようにして、その際に他のユーザーとのバランスが崩壊しないようにする。お金を払うと優位に立てるようなことはしない。プレイヤーには、「作業」に対してお金を払ってもらう。ここで提供するサービスの内容は、お金を払わないプレイヤーも手間と時間を惜しまなければ手に入れられるものであるべき (別の文脈で Jason もお金を払うとレベルをクリアできるような仕組みについて話しているわけじゃない、と話している)。 <中略> そもそも人生は平等じゃない。その上で何ができるかと言えば、インフラストラクチャを構築することだ。

Michael: ビデオゲームは (ボードゲームを除けば) 、リプレイアビリティを持つ唯一のメディアだ。映画や読書、録画したアメフトの試合とは違う。ゲーム以外は見るたびに結末が変わったりしない。だからこれまでに「リプレイアビリティ」という概念にアプローチし、利益の創出方法を模索した (ゲーム以外の分野の) パブリッシャはなかった。だからプレイ無料で後から課金だろうが、30ドルで販売してあとはオプションにする方法だろうが、トータルで 60 ドル以上になるのならそれは実現されていくだろう。パブリッシャは今どうやって実現するかを模索しており、現在のところそれは DLC だ。だが Jason が言ったようなシステムがうまくいくという確証が得られれば、そちらにシフトするだろう。

Part 3 相次ぐスタジオ解散、大手パブリッシャ、開発者はどうなる?

Geoff: スタジオ解散のニュースとしては 3D Realm の解散が公式にアナウンスされたりと色々あったけれど、今後もスタジオの閉鎖は続くと思う?
Jason: ありえる話だと思う。ただ僕としてはそうして職を失った開発者はゲームビジネスの中で新たな場所を見つけるだろうと信じているし、そう願っている。正真正銘の AAA タイトルはかつてないほどの成功を収めている。ただミドルクラスのタイトルにはかなり厳しい時代だ。metacritics のスコアで 75 以上を得たタイトルであってもうまく行っているとは言えない。こういったミドルクラスのゲーム開発会社は今後、ゲームを作らせてもらえなくなるのではないかと思う。パブリッシャが超ド本命の超ビッグタイトル何本かに予算をつぎ込むようになるから。短期的にはそれでもいいだろうけれど長期的に見たら結局ダメだろう。
<中略>
Shane: 平均よりちょっと上くらいのゲームを作っているだけではやっていけない時代。そしてミドルクラスタイトルのレベルはこの 4、5 年の間に劇的に上がってしまった。
<中略>
Michael: すべては繰り返す。95 年、約 80 % のゲームは独立系開発会社によって制作されていた。当時パブリッシャはインハウスのスタジオを持っていなかった。それが 2000 年にはパブリッシャのインハウススタジオ制作と独立系制作の比率がインハウス 2/3、独立系 1/3 になり、2009 年にはおそらく 90 % のタイトルがインハウス制作になっていただろう。そして景気が悪くなると大手パブリッシャはスタッフの解雇を始めた。開発者の人件費はゲームを作っていようがいまいが固定だからだ。EA が先陣を切ったが、他の大手もあと 2〜3 年は同様の方向に進むだろう。
Geoff: 大手パブリッシャはそういうふうに別のパブリッシャを解雇された人を雇用するだろうか?
Michael: いや、大手パブリッシャはしないだろう。新しくスタジオを設立するんじゃないだろうか。今や業界には、Flash、ソーシャル、カジュアル、iPhone、マイクロトランザクション、プレイ無料みたいに様々な新しいものがあるし、これは開発者にとってこの上ないチャンスだろうから。ただ、それまでの年棒が 10 万ドルだった人たちも、独立すればしばらくは年に 3 万ドルくらいの収入しか得られないだろう。ヒット作を出すまでは。だからゲーム開発者の収入はしばらくの間下がることになると思う。ただ、大手パブリッシャはそういったスタジオに素晴らしいアイデアを持った人がいれば一緒に仕事するようになると思う。例えば playfish 社は設立は 2 年前で、スタッフも全員で 50 人くらいだ。彼らはリスクを取って独立した。こういった人たちがゲームに再びイノベーションを投げ込んでくれる層だと思う。これまでパブリッシャで働いていた人は「どうやって飯を食っていくか」試行錯誤している。彼らはリスクを取る。失う物がないからだ。
Jason: ひとつ疑問がある。そういった人たちは大手を去り、ゲームビジネスの別の場所で活動を始めるとする。彼らが AAA タイトルの開発に戻ってくるチャンスはあるだろうか? そして、そもそも彼らは AAA タイトルの開発に戻るべきなのだろうか? この件について、僕はここのところずっと注目している。例えば Torchlight を開発したスタッフはもともと在籍していたコンソール向けにゲームを作っていた会社を去って、全く新しいビジネスモデルを作り出した。素晴らしいことだ。で、大作ソフトは "本当に" 大型タイトルじゃなければ売れないから、6000 万ドルとか 8000 万ドルという予算をかけて年間 3、4 タイトルだけ発売される。 そんな状態が続けば当然ユーザーは大作疲れしてしまうだろう。そのときにだ。誰が「新しい」AAA タイトルを作るんだろう?
<中略>
Jason: 起こりえない仮定を持ち出すけれど、例えば Naughty Dog が解散になったとする。もちろん僕は、あそこのスタッフがゲーム業界に素晴らしい功績を残せる才能にあふれた人材だと言うことを知っている。しかしもし彼らのうちトップの数人が EA、UBIsoftActivision、Take-two みたいな大手パブリッシャの門を叩いて AAA タイトルを開発するために資金を得られるか? と聞かれたら答えは絶対に NO だ。
Geoff: Naughty Dog の精鋭が行っても無理? 例えば Infinity Ward の精鋭が行っても駄目、と?
<他のパネルが一斉に反対意見を口にする>
Jason: フルチームを率いて話をしに行かない限り、大手パブリッシャは AAA タイトルを開発する大型契約にサインできないんだ。
Shane: 俺は同意しかねるな。Platinum games と三上サンを見てくれよ。三上サンはもう Capcom の社員じゃないけど、Platinum games は資金を出したぜ。Team Ninja もだ。彼らはテクモから離れて、Tokyo Vikings を立ち上げた。稲垣サンは資金も得られたし、ゲームを作ると言ってた。こういう著名な人には資金が集まるんじゃないかな。あと、彼らは (おそらく Platinum games) プログラミング作業の一部をフロムソフトウェアとかに外部委託している。フロムソフトウェアは開発会社だけど、大規模なプログラミング部署を持っていて、プログラミングを請け負っている。Platinum games にいる 4〜10 人のコアメンバーが綿密に協力してゲームをデザインして、プログラミング自体はフロムソフトウェアに外注したんだ。
Jason: いいかい、理論的には今言った通りだ。本来はそういう風にならなきゃいけないと思う。だが現実は...

Jason: オーケイ、じゃあ別の質問を。Naughty Dog のスタッフはご存知の通りすごく才能がある。そして仕事は全部社内でやる。社内のチームメンバーを外部開発会社の人材で補うことはしていない。じゃあなんで、彼らは今言ったみたいに理論と同じように行動していないんだろう?
Michael: セーフティネットがないから。
Jason: 違う。セーフティーネットは関係ない。もし、もし全てが理論通りに行っていたら、優秀なスタッフが Activision のドアを叩いて Activision は「Hell yeah (バッチ来い!)」って言ってるはずだ。そういうことがそこらで起きてるはずだ。だが実際は起きてない。何で成功を収めた優秀な社内スタッフが...
Michael: Bizarre Creation は今言った例のひとつだろう。PGR を開発し、MS の専属スタジオだった。スタジオは 9 億ドルで買収された。Activision は「Hell yeah (バッチ来い!)」って感じで。そんなに前の話じゃない。
Jason: 待った待った、ちょっとはっきりさせておこう。成功してて、財務的に開発を続けられるスタジオの話と解散したスタジオの話は全然違う。
Geoff: 例えば Infinity Ward、彼らは Activision にいたけど、自分たちでやりたいからと行ってスタッフごと出て行って新しいスタジオを立ち上げたよね。そういうのは今後ない、ということ?
Jason: もう起きないだろうね。もちろん契約上の問題もあるし。
Shane: じゃあ Rare の場合はどうだろう
Jason: それだと古代の話になっちゃうよ。
Michael: Midway はそんなに前の話じゃない、たかだか一年前くらいだ。スタジオ閉鎖して、Times Warner が IP (知的財産、ここでは特定フランチャイズなどのこと) ごと買収して、スタッフも全員残って、今は Mortal Combat の新しいタイトルを開発しているじゃないか。それ以外全部ひっくるめて 3000 万ドルは双方にとって良い条件だったんじゃないか。
Jason: Midway の件は、彼らにとって全然「良い条件」じゃなかった。
Michael: いやいや、だって金銭的にも良かったし、引き続き雇用されるわけで...
Jason: 僕は実際に Midway に行ってチームと話をしてきた。彼らはこの件についてハッピーではないと言った。だから僕は断言できる。Times Warner との件は「完璧にハッピーな」条件ではなかった。僕の意見を率直に言わせてもらうと、あれは悲劇というべきだろう。Ed Boon 氏は非常に才能あるゲームクリエイターだ。今回彼の身に起きたことを「ゲーム業界における成功例」と取るべきじゃない。才能あるゲームクリエイターをああいう風に扱うことを成功と呼ぶべきではない。あれは台無しというんだ。
Geoff: じゃあ、そういう才気あふれるゲームクリエイターが本当に作りたいゲームを作れる場所はどこにもないということかな?
Jason: もし、自分のチームが解散となって、率いるチームメンバーがいない場合、(そういう場所を見つけるのは) 極めて難しい、と言わざるを得ないだろうね。すばらしいゲームクリエイターが単身大手パブリッシャのドアを叩いて AAA クラスのタイトルを開発させてくれと言い、すぐ資金提供を受けた、なんて話を僕は知らない。たとえ"伝説の" Will Wright 氏でも、数年前にまたゲーム作ると言ったとき、Activision が 6000 万ドル渡すから AAA タイトル作ってくれと言えたか? と聞かれたら僕には分からない。実際、そんなことは誰にもできないことかもしれない。僕なら、(資金提供の判断を) できるけどさ。
Geoff: この番組を見た誰かがあなたにコンタクトしてくるかもね (笑)
Part 4 音楽ゲームと新しい周辺機器について
Geoff: 2010 年、音楽ゲームはどんなアクションを取るべきだろう?
Shane: フルゲームのリリースをやめること。もう必要ないから。現時点で、もうみんなギター 2 挺とドラムセット、マイクを持ってる。DJ Hero みたいに全く新しい機能がある場合を除いて、毎年フルパッケージを出すのはやめるべきだ。DJ Hero の販売本数については個人的にとても落胆している。面白いゲームだし、ギター・ドラム系のゲームとは全然違うのに (メモ: Shane は大学時代から自分で DJ やってるので個人的に熱くなっています) 。
<中略>
Shane: ユーザーはまだまだゲームを楽しんでいるんだからこれから必要なのは「曲のダウンロード」だけだ。パブリッシャや開発者は安く曲を購入できるようにする方法を見つけないと。例えばアルバムやアーティスト単位でまとめるとか。
Geoff: もう一つ、音楽ゲームがどんどんハードコアになっている点についてはどう思う? DJ Hero は間違いなくハードコアなゲームだったよね。だから Rockband が Beatles のバージョンを出したことについては未だにびっくりしているんだ。Wii でポチポチボタン押すようなゲームにして出せばもっとメインストリーム層を拾えたと思うんだけど。あと、Rockband 3 では実際の楽器を演奏する方法まで教えてくれるなんていう噂もある。Michael、このジャンルはこの先どういった方向に進むべきだと思う?
Michael: まずパブリッシャー 2 社 (EA と Activision) には一歩引いて状況を見てほしい。バンドキットの普及率はインストールベースの 20 % にまで達している。つまり今年のうちにゲーム機本体が 2500 万台売れれば、バンドキットもあと 500 万台売れるということだ。そうなれば音楽ゲーム単体のインストールベースは 2000 万から 2500 万になる。ひいては曲も沢山売れるということになる。確かにユーザーは毎年出るフルパッケージの音楽ゲームに辟易しているかもしれない。だから 190 ドルのバンドキットはもうそんなに売れないだろうが、追加楽曲を 20 ドルで売ることはできるはずだ。あと、価格設定が崩壊しているのもまずいよね。DLC の曲とフルパッケージの曲は一曲あたりの値段が違いすぎる。バンドキットについて言えば、とどめはクリスマスの割引パッケージだったね。99 ドルでバンドキットとディスクを売った。それを見たユーザーはもう 190 ドルでバンドキットを買わない。
<中略 - 途中からモーションコントロールに関する話へ>
Geoff: モーションコントローラーを使ったタイトルが AAA 級の予算、 6000 万ドルを得ることはあるかな?
Jason: 良い質問だと思う。最初は小規模なものになるだろうね、インストールベース 0 の状態だから。普及していけば 2500 万ドルクラスのゲームが出てくるかもしれないけれど、分からないね。
Shane: 立ち上げの時は派手なタイトルを投入して関心を集められるようにするんじゃ?
Jason: 僕は、Natal 系のコントロールデバイスはゲーム機に革命をもたらすと考えている。ただその革命とは、ゲーム機をゲーム機以上のものにすることだ。ゲーム以外の要素だけで Natal の購買理由になりうるような。僕はマイクロソフト社の向かっている方向と手法は正しいものだと考える。ゲームを買わない人たちにもバシバシ Xbox を売れるだろう。
Michael: たしかに。先日、とあるモーションセンサーカメラの会社に -- そこは Natal のカメラを製造しているかどうかと問われて回答を避けた会社なのだけど-- 行ってきた。私が見る限りあれは Natal のものだと思うけれど、とりあえず社名は伏せておこう。そこで見せてもらったアプリの中にはもちろん普通のゲームもあったんだけど、キラーアプリの一つとして紹介されたやつが「パワーポイントに自分を登場させる」アプリだったんだ。 <一同笑> 天気予報のアレみたいに。もちろん天気予報士は緑色の壁の前でやっているわけだけれど、その時は普通の背景の前でそれを見せてくれた。これはもちろんアイデアの示し方であり本当の意味でのキラーアプリではないけれど。これを使えば、たとえば Xbox でホームムービーだって作れる。
Jason: Natal の凄いところは、「TV と接続する機器としてはじめて、TV の前にいる人物を認識する」ところだ。ユーザーの情報、好みも判る。音声も理解する。これが持つ可能性というのはゲームに留まらない。だから Natal のキラーアプリは -- さっきも言われていたけど立ち上げの時は派手なタイトルを投入して関心を集める必要があるよね -- ゲームじゃない可能性だってあるわけだ。Natal はインターフェイスであるということで。僕は実際に Natal を触ってみて思ったのだけれど、といっても Natal に限定しているわけじゃなくて Natal 的なものという意味で、こいつは再び革命をもたらすだろうとほぼ確信すら持っている。<中略>もちろんゲームがダメというわけじゃない、ただキラーアプリはゲームじゃないかもしれないということだ。


LYE コメント

長くなってしまいましたが、やっていて楽しかったです。無職期間中のリハビリみたいなもので。

オンラインゲームのマイクロトランザクションについては、twitter: fura さんの発言に色んなものが集約されている気がします。このエピソードとは全く関係ないところで発言されたものですが、まさにそういうことなのではないかなと。

既存のコンシューマーゲームビジネスは先払い、ソーシャルやオンラインゲームビジネスは後払いでしかもサービス業。この違いを心底理解している(両方である程度経験を積んでいる)人って、日本国内では意外と少ないかも。

また、Fable 2 のエピソード型販売もこのテーマで言われていたような未来を見据えてのものだったのかも思いました。ピーター・モリニュー氏が手がけるタイトルには将来的なビジネスモデルを見据えた実験要素が盛り込まれるのかもしれない、と勘ぐれば、Fable 3 や Milo の「扱い方」にも注目、といったところでしょうか。