Indie Game: The Movie、英語学習教材として、または翻訳フローについて
半額セールになる数時間前にフルプライスで買うという素晴らしいタイミングで入手した本作を週末で鑑賞しました。いつもながら、英語学習者向け、および映画自体の翻訳目線でお話します。
今ならえーっと…約400円でHDダウンロード可能。
http://buy.indiegamethemovie.com/
英語学習者向けにアリか?
結論から申し上げると、おおよその目安としてゲーム開発者で TOEIC 550 以上 (600以上推奨) 、英語字幕ありであれば、リスニングの素晴らしい教材になると思います。理由は以下。
- 内容がゲーム開発そのものなんで、コンテンツとして見通す苦労が少ない
- →そりゃそうですね
- 雑音が少ない
- →音楽が静けさと調和を愛する僕らのJim Gathrie (スキタイのムスメの作曲家さん)だから…じゃなくて静かなので、音声に集中しやすい
- 英語字幕が丁寧
- →スラング/口語すぎるところは字幕が「同じ意味の平易な言い方」にしてあるので、無駄に難易度が上がってしまうところを回避できる
翻訳について
英語、アラビア語、繁体字中国語、チェコ語、オランダ語、ドイツ語、フランス語、ヘブライ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、トルコ語の字幕に対応。
でも日本語ないです。
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/07/indie-game-movie.html
さんの記事を参照するに、全言語有志によるものであるそうです。日本語も進行中だけれど、まだ収録されていない様子。実際2時間の映像翻訳を有志でやるのはそれなりのコミットメントがいるのでここが難しいのはきっとどこの言語も同じですね。
私自身は英語字幕つけて視聴したのですが 、英語がある程度平易な言い回しに変更されていて親切だな、という印象を受けました。当然ある程度、なのでペンギンブックスみたいなレベルではありませんが。
この翻訳に関する部分を有志にまるっと投げて、それを字幕として使うというのは実にインディー魂だなと感じました。実際コンソール向けじゃないインディーゲームはけっこうこのモデルで多言語化しているところがそれなりにあり、「愛するコンテンツに対してユーザーが可能なコミットメントの種類」が実にいろいろ揃っているなと感じます。ユーザーはそれを楽しんでやるわけで、「自発的に巻き込まれにいって」いるんですよね。自分もやらないわけじゃないので、その気持ちすごく分かります。
実際、ゲームを遊び/映画を楽しんで視聴し、理解したうえで翻訳した成果物というのは「全方位的に」ではないにせよ商業翻訳者による翻訳を上回る部分が出る時もあるわけで、特にこういった「マス層に向けていない」作品では予算的兼ね合いもあり今後どんどん増えそうですね。
果たして商業翻訳者がこれから磨いていくべき刃とは、どっちを向いてどんな鋭さを持っていくのか?とか、このドロップダウンリスト見ながら考えてしまいました。今は現役ではありませんが、私も他人事ではありませんし。
以上、とりとめないですが報告終了です。