プロによるプロのための VFX 専門学校紹介 On GameTrailers.com (英語のみ)
2010/07/16追記: すみません、勝手な思い込みで「ゲーム開発の学校」と書いてしまいましたが、ゲームに限らず VFX 全般を教える専門学校です。
学校の詳細については 「毎日、Melスクリプトの勉強!!」様が『GnomonスクールがGnomonスタジオを設立!』 という記事にて説明されています。興味のある方はぜひこちらを覧ください。
動画の URL
GameTrailers.com の動画ははてダに Embed できないのでリンクでご容赦ください
30:14秒〜
Facts From The Show
- 学校所在地はロサンゼルス
- 講師は現役のゲーム開発者
- Naughty Dog の Character Lead、Richard Diamant 氏 (今年の GDC でセッションしてます:Uncharted 2 Character Pipeline: An In-depth Look at the Creation of U2's Characters) も講師のひとり
- その他 Blizzard Entertainment などの現役バリバリの人が教えてくれます
- 講師は全部で 70 人
- 生徒は 20 代前半から、50、60 代まで!
- 既にプロとしてのキャリアを重ねた人も多い (ゲーム業界以外からも、建築でキャリア形成してきた人など)
- Blizzard のアートディレクター/3D アーティストが未経験の学生の隣に座って授業を受けている、なんてこともある
etc. etc.
要チェックや!
インディーゲーム製作者ド本音インタビュー On GameTrailers.com (英語のみ)
動画の URL
GameTrailers.com の動画ははてダに Embed できないのでリンクでご容赦ください
16:36秒〜
ゲスト
The Odd Gentlemen
- Matt Korba
- Paul Bellezza
彼らのゲーム "The Misadventures of P.B Winterbottom"
Kiyosick 氏, メキシコマフィア王, Bling Bling.
Tubmlr で Kiyosick 氏から流れてきた Bling=装飾銃 (From CoD MW2 日本語版) の見本のような写真が見事だったのでこちらも忘れず貼っておく。
Kiyosick氏の Tumblr
Gold and silver-plated jewel-encrusted guns allegedly owned by drug cartel boss are seized in Mexico // Telegraph UK
これぞ Bling Bling. 完全に対応する日本語は、当然ながら、ない。
ustream トークライブ "グローカリゼーションなう"
新宿のゲームバー 16shots にてストリームライブしましたトークライブ "グローカリゼーションなう"、緊張して緊張してスゲー挙動不審でしたがなんとか終わりました! うまく語れなかったこともありますが自分にはアレ以上はできません。小野さんがすごく慣れてらして、5秒ごとに助けていただいたような気がします。
ここでは補足として、トーク中に触れた画像やら参照元 URL を紹介します。
あの表
- 原典尊重
- LYEの意見:すればするほど「マニアは満足するがマス層には届かない」
- ターゲット尊重
- LYEの意見:「コストがかかる」が「広い層にアピールできる (文化的摩擦が最小化されているから)」
- 言語的
- LYEの意見:プログラム的な修正が不要なので「比較的容易に対応できる」
- エンジニアリング的
- LYEの意見:変更や追加そのものにコストや時間がだけでなく QA テストのボリュームも増やすため「一番コストがかかる」が、「適切に行われると一番効果的」
でも一番大事なのは「どういうユーザーに、どういう体験をしてほしいのか」をベースにそのローカリゼーションが行われているかどうか、だと思う。
ローカリ事例とゲームタイトル
オリジナル尊重の例
ゲームタイトル | 言語 | オリジナル | L10N後 | コメント | ORIGINAL/TARGET? | ENG/LANG? | 参照元 |
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Persona 4 | 日英 | さん, くん, 先生 | 〜san, kun, sensei | 「アメリカのプレイヤーにとって日本の田舎へのバーチャル旅行みたいにする」というテーマ、「一年を通じての人間関係の変化を描き出すための強力な道具」という認識があってのこの対応。 | オリジナル | 言語 | お茶妖精/海外サイトより「ペルソナ4の北米ローカライズ担当者のインタヴュー」 |
Persona 4 | 日英 | 大雷 (ラスボスの使用する技名) | Oh Ikazuchi | 他の技などは英語化されているものもあり。LYE の印象では、元ネタとして神話や伝承などがある場合はそのままにしているように感じました。 | オリジナル | 言語 | Endurance Run: Persona 4 - Part 155 - Giant Bomb (6分頃) |
ターゲット尊重の例
ゲームタイトル | 言語 | オリジナル | L10N後 | コメント | ORIGINAL/TARGET? | ENG/LANG? | 参照元 |
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ラチェットアンドクランク | 英日 | 細い眉毛 | ゲジゲジ眉毛 | 語りきれないので是非インタビューを読んでください。 | ターゲット | エンジニアリング | IGDA Japan <ゲーム開発者インタビューシリーズ7>あるローカライズ・スペシャリストの「卒業」 |
Final Fantasy IV | 日英 | ホーリー (ローザの白魔法) | White | SFC版ではHoly、宗教的な配慮の結果、GBA版以降は White という名称に。 | ターゲット | 言語 | Gametrailers.com Final fantasy retrospective Part XII |
Pokemon | 日英 | サトシ | Ash Ketchum | Wikipedia にページが。 | ターゲット | 言語 | Wikipedia English Ash Ketchum |
ピニャータシリーズ | 英日 | 部分的に大人向けのキツイブラックユーモア | 全体的にやさしめ | ターゲットユーザー層の選定と徹底がなされています。 | ターゲット | 言語 | みつかりませんでしたがプレイした人なら分かっていただけるはず... |
FIFA 09 World Class Soccer | 英日 | 日本人もしくは日本経験のある選手の専用音声特に無し | 日本語版専用に、有名選手の音声パターンを増強 | 日本のサッカー好きに楽しんで欲しいという明確なテーマがあっての対応です。 | ターゲット | 両方 | GameWatch / リアルサッカーゲーム「FIFA 09 World Class Soccer」開発者インタビュー |
FIFA 10 | 英日 | 日本人もしくは日本経験のある選手の専用音声特に無し | 日本語版専用に、有名選手の音声パターンを増強 | 日本のサッカー好きに楽しんで欲しいという明確なテーマがあっての対応です。 | ターゲット | 両方 | 360サイコーッ!!ブログ/【Deep'nside Of EAJ】第3回 |
Persona 4 | 日英 | ゲーム内用語集なし | ゲーム内用語集追加 | 北米ゲーマーのため、マニュアルに日本独特の用語をまとめた辞典を追加。敬称などに加えてメインキャラのペルソナも解説。 | ターゲット | 両方 | お茶妖精/海外サイトより「ペルソナ4の北米ローカライズ担当者のインタヴュー」 |
ニーアレプリカント/ゲシュタルト | 日英 | PS3:美少年の兄、XB360:筋肉隆々の父親 | 両プラットフォームとも筋肉隆々の父親 | 各国のマーケティングとの議論の末そのようになったとのこと。 | ターゲット | 両方 | Inside-Games/【DEVELOPER'S TALK】『ニーア レプリカント/ニーア ゲシュタルト』 |
具体的なゲームローカリ事例以外:
- 児童文学では地名や人名を現地で馴染みのあるものに変えることが多いという話:
用語の意味: 翻訳、ローカリ、インターナショナリ、グローバリ
Andreas Szurawitzki 氏 (ヘルシンキ大学の大学生) が書いたゲームのローカリゼーションに関する修士論文を今日から読みはじめました。
まだ前提部分読んでるところなんですけど、読んでいたら「翻訳、ローカリゼーション、インターナショナリゼーション、グローバリゼーションの定義」を自分なりに消化できたような気がします。ずっとしっかり説明したかったことだし、せっかくイメージができたので、ちょっと書いてみます。
- 翻訳 (Translation): 等価性 (Equivalencce) を基礎において行われる行為のこと
- インターナショナライゼーション (Internationalization): 最重要課題の一つが "翻訳の等価性を効果的に保証 (Efficient assurance) すること"
- ローカリゼーション (Localization):プロダクトまたはサービスを異なる市場の違いに併せて変更 (Modify) するプロセス。翻訳はローカリゼーションの一部。
- グローバリゼーション (Globalization):Buzz Word、意味を定義することができない
うん、すっきりした!
今日はここまで!
なお、一般的なソフトウェア分野における"ローカライズ"の定義や関連するお話については Anthony Pym 氏が色々と書いておられるので興味のある方は探して読んでみてください。
L10N, 言語の違いと, それ以外の違い
流れが違う、ノリが違う、常識が違う
翻訳者が経験を積んでいくと意識するもののひとつに、「横文字を縦文字に直すだけではない要素」がある。
それは「文化/言語に固有の論理」というか、「文脈が示す次の展開」、あるいは、「"これまで言ってきたことを踏まえると次は当然こうなるよね"の流れ」が違うということ。
これはマーケティング資料なんかでもあるし、会話でもある。もちろんデジタルゲームでも。
マーケティング資料などで、英語のプレゼンテーションを日本語にするとき、文単位で見ると問題ないのに、全体を見るとぎこちなく見えたりした経験はないだろうか? もちろん言語的な違いも大きなものだが、ここにはそれ以外にも「不自然さ」を醸しだす要素がある。
別の例では、心理学者の故・河合隼雄氏と作家の村上春樹氏も、「村上春樹、河合隼雄に会いに行く *1」のなかで、英語のスピーチを書くときは絶対に日本語で書いてから英語に直すことはしない、と言っている。
乱暴に要約すれば「考え方をその言語ロケールにしなければ、自然な文章は書けない」ということになるのではないか、と LYE は思う。
英語版 FF X の例
デジタルゲームの例。Final Fantasy X の英語版では、ヒロインのユウナが (身を呈してユウナを守り、<ネタバレ一応回避> してくれた) 主人公のティーダに向けて言うセリフが「ありがとう」から「I Love You」になっている *2ところがある。
ここには「マーケティング的にそっちのほうが受ける」という判断もあったかもしれないが、「前後の流れからいって、ここでありがとうでは意味が分からなくなるのではないか?」という判断もあった *3 のではないか? と、LYE は考える。
比較文化学ってどうかしら
海外展開を考えてゲームを作るときにこの点をどのように応用できるか、と聞かれたとき、現時点で LYE は答えを持ちあわせてないけど、土台として、「日本固有で、北米 (Or 別のターゲット文化圏) では理解されないことがらは何か?」を考えていくなら、比較文化学の助けが必要なのでは? と思ったりしてる。
LYE は比較文化学の超入門書を 1、2 冊読んだだけなのでまったくの素人なわけだけど、日本のデジタルゲーム、特にストーリーテリングの面ですんなり受け入れられる (摩擦が発生しない) ものを考える上で具体的に役立つ情報が、すげー埋まっていると思うんです。このへん、せっかく時間はあるので、今後もうちょっと突っ込んでいきたいなと思っています。
# ヤマもオチもイミも無いエントリになった気がする。自分が知らないことを避けて分かってることだけでものを書こうとするといつも尻すぼみになってしまう。もっと知識が要るなあ。
*1:リンク先 Amazon.co.jp
*2:リンク先 LYE の Tumblr、原典はMinako OHagan 氏のプレゼンテーション
*3:日本語:表面=感謝、裏面=愛情が英語の "I Love You" では逆になるが、そのほうがすんなり理解できると判断した