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MW2 の誤訳まとめ Wiki を見ての感想 (修正版)

localization

2009/12/26追記: Xbox 360 SNS のとあるユーザー様の日記にて指摘されていた内容を反映して一部修正致しました。
追記箇所は赤太字で記してあります。

Call of Duty:Modern Warfare 2@ wiki - 日本語版誤訳

MW2 誤訳をまとめた Wiki をはてブお気に入り経由で発見。で見てみた。コメント。

※上記 Wiki より引用

シングルプレイヤー

原文 LYEコメント
this is the Wild West. ここは荒野のウェスタンだ ここは無法地帯だ Context不足のまま翻訳
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
No russian 殺せ、ロシア人だ ロシア語は禁止だ Context不足のまま翻訳
意訳したのに報告されていなかった
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
Pfc & Cp 二等兵 & 兵長 上等兵 & 伍長 誤訳
翻訳者の知識不足
10 seconds! じゅうううううびょおおおおおおう! (着弾まで)10秒前! Context不足のまま翻訳
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
There's too many of 'em! Back up! Back up! 数が多すぎる! 増援を求む! 数が多すぎる! 後退しろ! Context不足のまま翻訳
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
Slow down, we're getting strung out! 減速しろ! 頭がどうにかなりそうだ! 減速しろ! 隊列が延びてるぞ! Context不足のまま翻訳
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
He supplied the assault. テロの実行犯だ 奴が武器を調達した Context不足のまま翻訳
意訳したのに報告されていなかった
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
Gulag 矯正収容所 強制収容所 Typo
多分実機Testingさせてもらってない
校正段階でも拾われるべき

2009/12/26追記:GulagはWikipediaで調べるとThe Chief Administration of Corrective Labor Camps and Coloniesをロシア語で書いた時の略称で、Corrective(矯正目的の)ってしっかり入っているとの指摘を頂きました。Wikiの内容を疑わずに書いてしまって申し訳ありませんでした...
mean bitch 腰抜けばかり かなりのじゃじゃ馬 Context不足のまま翻訳
意訳したのに報告されていなかった
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
Sarge,check out these tats. 軍曹、こいつらを見て下さい 軍曹、このタトゥーを見て下さい 誤訳
翻訳者の知識不足
多分実機Testingさせてもらってない
That helo is history. Nice shot. ヘリは死んだ、ナイスショットだ あのヘリは終わりだな、いい腕だ おそらく音声録音後に修正した
不統一だがこのレベルの不統一はFallout3やOblivionでも多数あった
録音時に若干言い回しを変えることがあり、録音された音声と字幕の内容を同期させるのは非常にコストがかかる割に違いが地味
訳の品質はともかく、不統一を責めるのは酷

マルチプレイヤー

原文 LYEコメント
Airdrop 空中投下 (救援物資、補給物資の)投下要請 Context不足のまま翻訳
意訳したのに報告されていなかった
多分実機Testingさせてもらってない
多分どこで使われるかわからないまま翻訳された
校正段階でも拾われるべき
Danger Close 危険察知 デンジャークロース 翻訳者の知識不足
Take no prisoners,comrades 捕虜はいらんぞ、同志 徹底的に叩き潰せ、同志諸君 翻訳者の知識不足
2009/12/26追記:これについては、起源を考えれば現在の訳で良いのではないかという意見もあると思います。ただ LYE の感覚からすると、日本語で "捕虜を取るな" という内容では一種の指示となり、"ときの声(Battle Cry)" ではないので、ユーザーエクスペリエンスの面で良くはない点だと思います。あとは現在このフレーズが文字通りの意味で用いられることは余りないのではないかと。


このタイプの誤訳はまず間違いなく実機で言語的なテスティングをさせてもらっていない。
開発会社←→パブリッシャ←→翻訳会社のコミュニケーションがスムースに行ってない可能性がかなり高い。翻訳者から報告されていて適切に対応していれば潰せた誤訳。
言い回しの理解ミスは翻訳者の Fault。
文脈にそぐわない誤訳は Context なしでわからなかった。実機 Testing でチェックすべき項目。


外から見て勝手にポストモーテムするとしたら、出てくる Lesson Learned は次の 5 点と予想。

  • 不明点の問い合わせに関するコミュニケーションパスと実施タイミング、そしてその間隔を明確にしておく
  • 報告する/しない事項の重要度重み付けをきちんと定義しておく
  • 言語的な実機テスティングを充分に (パブリッシャ側でも翻訳会社側でも) 実施できるよう 最初からスケジュールする
  • 「翻訳仕上げたら仕事は終わり」じゃなくて、実機テスティングフェーズでも修正を柔軟にできる体制を整備する
  • 翻訳開始時に、翻訳会社に充実した資料(簡単なストーリーあらすじ、ベータ版でもいいのでスクリーンショット、音声ファイル、設定資料など) をハンドオフする


これが必要になるとおもう。
全部想像です。でも多分八割方当たってると思います。


テスティングの重要性については以前も書いたけど、ゲームの翻訳で言語的な実機テストなしとか無理です。どうしたってあらが取り切れない。絶対に、絶対に無理です。ほんとに、完璧に、圧倒的に、無理です。
あとテストはできれば翻訳を仕上げた人間にやらせた方が良い。体制上できないならそういう権限を与えられるよう対応した方が良い。テストもしないなら少なくともそれはローカライズじゃない。英文和訳です。



担当者さん、次回に期待しております。
すべてが怠慢でないことはよく理解しております。
ご自身の権限ではできることに限界があることと思います。
胃、痛いですよね。できることなら手伝いに行きたいくらいです。



担当者さんは多分こんなふうにしたくなかったと思う。求められるスキルセットがゲームごとに違うんだ。 犬猫病院にマントヒヒ連れて来られるみたいなもんで毎度困るんだ。内臓の配置も場所も数も食べるものも (=開発会社の体制、文化、コードの書かれ方、ジャンル、それに付随して求められる専門知識) 違うんだから処置する時には毎回同じ対応ってわけにはいかない。ただ英語を日本語にすれば用が済む、ってことならとっくに Google が自動化しちゃっててもおかしくないわけで。

和ゲーを北米向けにローカライズ/発売してるパブリッシャー数社のインタビューつまみ食いから引用

現在のビジネスモデルはパッケージ販売をベースとしたものなので、デジタル配信時代が本格的に到来したとき、「良い関係」が築けているかはとても大事、でももし「自分たちのサービスやノウハウが付加価値を提供している」と日本の開発会社が思ってくれなかったらかなりきついことになるだろうね

まさにそういうことだと思います。海外のゲームソフトを売るプロセスのひとつとしてローカライズするってことは、文字を現地語にするだけじゃない付加価値がなきゃいけないはずなんです。数字にならないから難しいけれど、これはゲームのローカリ業界全体で意識を高めていかないといけないことだと思います。だってクソローカライズの会社ってレッテル貼られたら数字にも影響出てきますから。