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日本語へのローカライズ、フォントとテスティング

localization

ゲームのローカライズとフォントについて

Twitter ログより:

  • LYE ゲームでもWebでも、ローカライズする際に日本語のフォントってホント軽視されてるなあ。そりゃ他の言語と比べたら圧倒的に高いだろうけれど、グラフィックにしてン十枚分以上のインパクトがある素材だと思うんだけど
  • minahito 詳しくは知らないのですが、ゲームに関しては、ローカライズ版ということで追加ライセンスがいらない(=システム側で標準提供してくれる、使用料金のいらない)フォントを使うからああいうことになるんでしょうか?
  • LYE たぶんそれが一番でしょうね。予算を割くためには英語圏のひとにどれだけ標準フォントが不自然かを説明せねばならず、そこが成功しないのではないかと思います
  • msrkb さすがに最近はあまり見なくなりましたが、禁則を全く無視して句読点や受けカッコが行頭にきたり、センター揃えだったり、行送りがきつすぎたり、ってのもイライラします。
  • LYE そうなんですよ... 英語の場合は単語間のスペースで適当に区切るようにしておけばまず問題なしなので、マスター版が英語式改行方式だとこちらとしても何もできないという...
  • ranpub 日本語フォントが高いってのもあるんですが、動的テキストの表示周りでカーニングとかを綺麗にしようとするコストが異様に高いせいもあると思いますよ。DirectXとかOpenGLで描画すると特に。DTP知識がないと「ABC寸法?何それ?」でそもそも思いつかないし;;
    なので、綺麗なフォントを使っても、等幅でしか表示しないと余計に間抜けな感じになってしまい。「んじゃ、もう、MSゴシックでいいじゃん」みたいな(苦笑)。日本語のデザインとしての難しさに直面してしまう。
    あー、あとあれだ。ネットゲーとか特にそうですが、WindowsならIMEで変換中の表示文字と、実際に確定した・された描画される部分のずれとかまで含めて解消しないととか。つか、Win洋ネットゲーのローカライズはまずIMEがネック。Steamもいまだに変だし。
  • LYE なるほど、全体のバランスを考えるとそういう対処も考えないといけないのですね。日本語って、日本語であること自体が足かせなんすかねー...

ぼそっと言った一言にその道のプロからコメントがつく。それが Twitter クオリティ。

ローカライズとフォントについての独り言

英語なら「ゲームの世界観がすっかり出来上がってから、それに合わせてフォントを作る」ってことが可能なのに、ゲームに「合いそうなフォントを探す」 (凝ったものを必要な文字だけ作ることもあると思いますが)のは結構なハンデですよね。


それがローカライズになるとさらに悲惨です。何もしなければ、「世界観に合わせたカスタムメイドな英字フォント」が「業務文書みたいな明朝やらゴシック」になっちまうわけですから。

今後多言語同時展開するタイトルが増えると、「何言語も同時にやってんのにアジア言語のフォントについてあれこれ構ってられるかよ」なんて思われちゃったりしかねない (どうせ大して売れないのになんて思われてたらヤですね)。


フォントのライセンス買って使うにしても、「グラフィック作成するときに使う (割と安い)」のと「ディスクにフォントが同梱される (販売枚数単位で課金される可能性も)」のでは値段がアホほど違いますし (少し問い合わせたことがある)、日本語版にだけそんな予算割くのは現実的じゃない。


Mirrors Edge (EA) とか LittleBigPlanet (SCE) とか、フォント的に頑張ってるパブリッシャはおっきいところですよね。
Project Gotham Racing (MS) も凝っていたかな。あつまれピニャータ (MS) は 初代のときは Windows に標準搭載されてそうな POP 調だったのが 2 になってより自然なのになってました。


昔のインスタントコーヒーのコピーにもありましたが、「日本人はうるさい」です。でもフォントにうるさいのに言語的に自由にできない。
だからお金が割けないならできる限りの体勢を整えないと、「小予算だけどいいローカライズ」という花束の中のカスミソウが生まれてこなくなっちまう。


だからそのうちに、ゲーム含め商用利用完全OKな日本語フォントを集めたリンク集でも作りたいんです。
各種使用条件を一覧にして、カタログみたいに選べるような。
そのうち頑張りたい。もう誰かやってたらその人手伝いたい。

テスティングについて

自分の Twitter ログより:


制作したゲームをローカライズする方々にひとこと。テスティングの時間は絶対に前倒しにしたり短く設定したりしないでください。訳文が本当にこなれるのはこの段階であり、むこうのReviewでローカライズがクソと呼ばれないようにするためにはそれが一番対コスト効果が高いです

それからローカリの責任者と翻訳会社が密に連絡を取れる環境。丸投げではろくなもんができませんし、現地化するにも意思決定権を持つ人がいないとオリジナルの英語文言から乖離するコンテンツに GO を出せません (シンプルな例では L4D の実績みたいな)。

個人的には丸投げしたプロジェクトは 5 分もプレイすれば分かります。会心の翻訳ができるチャンスを捨てて、「アウトにならない」翻訳がたくさんあるので。

あとたぶん Fracture とか COD4 みたいな有名クソローカライズは、ビルドでテストさせてもらってないですよきっと
そうでなければプロ翻訳者が\nが表示される状態のまま GO 出したりしません。


#でもこんなこと日本語で書いても意味ないな。洋ゲーローカライズ指揮してる人は英語しゃべる人だろうから。
#そのうちこれを英語で書けば良いのか。まあいいや...

開発段階でお願いしたいこと

過去記事から引用

バーネットさんのコメントより

MADE IN JAPAN:西洋の視点から見た日本のゲーム開発 翻訳

http://d.hatena.ne.jp/LYE/20090321/1237616720

欧米の視点

日本のゲーム業界で働く外国人は、この業界を独自の視点で捉えることができる。視点を自分の文化を別の視点から見ることができるからだ。 日本のゲーム人口が縮小するに伴い、海外市場の重要性は日ごとに増してきている。しかしバーネットによると、重要性が増しても彼らが外国人同僚にアドバイスを求めるということはないとの事だ。「あるときプランナーから、なぜ名前入力スペースを 5 文字以上も確保するんだ?と苦情を受けたことがありました。 ローカライズのために必要だ、というのは彼もなんとなくは分かっていたみたいだったのですが、彼の反論は要するに、"今作っているのは日本語版なんだから 後でローカライズ版を作ればいいじゃないか" というものでした」

「こういう問題についての計画が全体的に足りていないんです。焦点をメイン市場に絞り、ローカライズ版は後から対処する、という手法には必ず問題が付きまといます。これは想像に難くありませんが、後からローカライズする場合、修正時に途方もない問題がどんどん発生します。テキスト表示幅が全然足りない、テキストを表示するテクスチャが多すぎる、どれもこれもハードコードされていて処理を自動化できない、などなど。多くの開発者は、日本よりも規模の大きい海外市場の重要性を認識しているとは思いますが、ではそれに対して何が求められているかを理解している人は本当に少ないと思います」

すべての開発者が上述の意見に当てはまるわけではないようだ。カスバート氏は言う。「任天堂のプロジェクトでは、最初にローカライズについて考え、別言語のグラフィックスやテキストを差し替えられるように心がけていました。 このほうがローカライズ段階に移ったときに作業負荷が軽くなりますからね」

海外市場向けのゲームを開発する上で問題となるのは、欧米でヒットするのがどのようなゲームなのかを日本の開発者が知らないという点ではないだろうか。 日本人は日本製ゲームの魅力を充分に楽しんではいたが、日本の市場はこれまで欧米に対して開かれたことはなかった。"Gears Of War" と "Final Fantasy" の両方が好まれるようになった今の日本市場に、開発者たちが対応していくにはさまざまな課題があるだろう。カスバート氏はこう言う。「ゲームのスタイルは、見た目にはアメリカ的、西洋的になります。(西洋での)テーマはより気骨のあるリアルな方向に進む傾向がある一方で、日本のゲームはより抽象的でアニメ的です。欧米産のゲームは平均的な日本のゲーマーの好みには合わないでしょう。 もちろんクラッシュバンディクーのような一部の例外はありますが」

欧米産ゲームが日本市場で受け入れられてこなかった理由のひとつにローカライズの問題がある。 タバレス氏は言う。「ローカライズというのは、単に字幕をつけて UI テキストをいじればいいというものではありません。 英語版をプレイするゲーマーと同じ没入感を提供するには、音声が日本語化される必要があります。ゲーム中で使用される歌があるなら、それらも日本語化されなければなりません。 ゲーム内で放送されるラジオに CM やジョーク好きの DJ が出てきてゲームに彩りを添えているなら、それらがすべて日本語化されない限り、日本人プレイヤーはゲームの一部を体験できないことになり、結果そのゲームの評判にも影響が出ます。別の地域からゲームを持ち入れるとき、このことがノータッチのままであることが多い」

段落 1 について:

理想的には、「ビルドはマスター1個、あとは読み込ませるリソースファイルで対応」としていただきたい。
ビルドが言語ごとにできちまうと、直したバグが次回以降のプロジェクトで再発する元になりますよ。

任天堂について:

すごい。言うは易し。やるの難しい。これができるなんて本当にすばらしい。
そしてローカライズ段階では世界観の構築に全力を出せるので結果的にコストを抑えて品質を上げられる。理想的。

段落 4 について:

このインタビュー以後に情勢は若干変わりつつありますので読み流してくださいまし。

最後の段落について:

歌については日本語化反対です。これは往々にして「北米版メガマンポスター」的にしかならないので。

また日本には「洋画字幕的日本語」というスタイルがすでに定着しており (24 のジャックバウアーの物まねとか、なだぎ & 友近)、
これはこれでアリになっている。一般的に優れた翻訳の条件とされている「自然な日本語」と矛盾するこの要素をどのバランスで配合するのか。
そのへんは http://d.hatena.ne.jp/LYE/20090109/1231478351 でも書いたので割愛。

極端に言えば、21世紀の今、明治時代の翻訳のように「楓=ハイジ」、「久良子=クララ」、「弁太=ペーター」とする必要はない、ということでしょうか。


なんか長くなったので今回はここまでで。また何か思うことがあったらそのときまとめてみたいと思います。