GDC: 直感を用いたゲームバランス調整 - 翻訳


注意1: 本レポートの内容に関する一切の著作権は原典を公開している EDGE Magazine に帰属します。今回は勝手に翻訳しています。なので著作権者からちょろっとでもやめてよコメントが届いたら引っ込める予定です。
注意2: 誤訳が混ざっている可能性があります。ご指摘いただいたものは修正したいと考えておりますので、コメントまたはTwitter (lye_) にてお知らせください。


原典:

GDC: 直感を用いたゲームバランス調整

ゲームのバランス調整は、日本刀や芸術的絵画等と同じく、数学的な計算だけでは完成させることができない。

GDC の水曜日のセッションで、『Super Street Fighter 2 Turbo HD Remix』のバランス調整を担当したデザイナーのDavid Sirlin氏は「ゲームバランスの謎を解くとき、多くの場合答えは鋭い直感の先にある。」と述べた。

しかしその直感とは、どのようにして発達させればよいのだろうか? 次に、Sirlin氏が提示した3つの例を記してみる。

  • 担当ゲーム、または同じタイプのゲームのエキスパートになること。これを自ら実践する彼は、高いスキルを持ったストリートファイターのトーナメントプレイヤーでもある。
  • そのゲームを、学校のクラスのような方法で研究すること。バーチャファイターのプレイヤー達は、特定のシチュエーションで何をするかをフローチャートにまとめたりした。
  • アップデートやパッチを公開したら、コミュニティの反応を注意深く見ること。コミュニティでは、公開からほとんど時間をおかずに新しい「コツ」がいくつかポストされていることもある。彼らの動向を注意深く分析することで、ゲームバランス調整に役立つヒントが得られる。

数学は、RPGなどの特定のジャンルでゲームバランスを調整する再にはある程度までは有用なこともある。一方その他のジャンルでは、数値の計算はバランスの問題を解決する役には立たない。「僕はMITで数学の学位を取っているから、もし数学が役に立つなら使っているでしょう。」と同氏は言う。

Sirlin氏は具体的な例としてArc System Worksのギルティギア(2D対戦格闘ゲーム)シリーズを挙げた。各キャラクターの個性がとても強いため、試合の内容は非常に非対称的(訳注:おそらくキャラクターごとに戦術が大きく異なるという意味)だ。しかしこのゲームでは、システム上で「すべての試合に影響を与える」バランス調整が行なわれている。例えば「浮かし」がゲームバランスを崩壊させないように、浮かされたキャラクターにかかる重力は徐々に重くなっていく。このため、「浮かされたら死ぬまでコンボを決められる」ということは起きない。

こういったシステムには、それがバランス調整の問題として発覚する前に解決してしまう効果がある。

Sirlin 氏はまた、「ゲームバランスの調整を担当する人物は天才でなくていい、ただそれが難しいタスクであることを認める必要がある。」と言う。「どんなゲームのバランスを調整する時であれ、"これが最適なバランスだ"ということは絶対に分からない。もし分かったとしたら、それはゲームが浅くてプレイする価値がないということだ。」


レポート寄稿: Sande Chen