英語のネタ/ジョークの扱い

英語のゲームを翻訳していると、大変な量の調べモノが発生します。
それは自分が慣れ親しんできた分野/カテゴリ/ジャンルのゲームでも同じです。
何を調べるのかと言うと、ジョークとスラングとコピペネタの詳細。

あっちのゲーム作ってる人たちって、「ネイティブでも分かる人だけ分かればよし」ってレベルのジョークとかコピペをガンガン使ってくる (個人的にこれをジョークが「尖っている」と呼んでいる)。

そういうのを翻訳するときには、誰が笑えるような翻訳にするのかを決めた上で、他の人にはまったく意味がわからなくなってしまう危険性についても考慮しないといけない。

日本語サイドから想像しやすいように言い換えると、
「勇者のくせにナマイキだ」にちりばめられている JoJo ネタとかドラクエネタとかを英語にするとしたら、って考えてもらうと分かりやすいかもしれない。

  • 誰に向けて、どこまでやったらいいか、日本語圏とあちらで理解してくれる人の割合はどれくらい違うか
  • 単なる言葉遊びは日本語にするときも違う言葉遊びを入れるか、それとも文脈に合った普通の文にするか?(cool cat (ジャズ好きな人)と猫を掛けた文があったらどうするか)
  • そもそも色々ひねったとして字幕や吹き替えなら文字数制限はクリアできるか?

とまあこんなことを考えながら翻訳をしている。
だからどうしても雰囲気の伝え漏れは発生してしまう。




だから、個人的には毎回下のようなルートを通って「できることをやろう」に落ち着く。

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  • タイ料理のパクチーは大多数のタイ人には素敵なアクセントなんだろうけど日本人には嫌いな人が多い。
  • じゃあ日本化するときにはトムヤムクンにミツバを乗せるべきか?(「原文のネタが無視されてる」と言うコア層多数)
  • いや、日本産で香りが弱くてもパクチーを乗せるか?(「ここ、何でこんなに直訳調なの?」という人多数)
  • ミツバとかあまりに「日本化しましたよー」感が強すぎで嫌われないか?(「翻訳狙いすぎ萎える」人多数)


「じゃあそもそもタイ料理はタイ料理として食えばいい(英語派、字幕派)」
と、自分の仕事を自分で全否定。

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それでも、より多くの人に優れたゲームが届けられるよう、今日も私はミツバを添えています。
今度意味不明な翻訳を見かけたら、上のこと、時々でいいから思い出してください(FF X 的な意味で)。