「今始めるのがアーリーアドプターの最後尾」(GD Localization Summit まとめ2)

書き漏らしていた事を忘れる前に補足しておきます。

Simshipとローカライズ

2009年以来続いているトレンドですがSimShipを目指すパッケージタイトルにおいては手動でのローカライズはもう無理なので、これを機にボイスやレコーディング、プログラムを巻き込んでの効率的・一元管理システムを構築する企業が増加してきています。特に今年は4社 (Square Enix、Crytek、Blizzard、Ubisoft) がそれぞれの体制を紹介する年となりましたが、いずれの企業においても本ステップは「ベース作り」であり、完成形ではありません。ここで重要なのは他の職種を巻き込んでの「変革」がシステム構築の終了とともに完了していることで、今後は他職種に影響を及ぼさない範囲で改良を続けていけます。パイプラインとシステム移行が最も困難な部分であるので、移行が済んでいない企業は早急にキャッチアップを目指さないと世界戦略を構築する上で大きなハンディキャップを負うことになります。

SimShip に対応するためのシステムやツールがGDCで取り扱われるようになったのは4年前、マイクロソフトによる Fable II の事例紹介でした。今年は Blizzard、UBISOFT、Crytek、Square Enix 各社が発表しました。
巨大化を続けるパッケージソフトの予算。費用回収におけるローカリゼーションの重要性は高まり続け、可能な限り多くの市場にリーチするための効率的な「しくみ」作りはもう誰も避けて通れません。しかし先述の企業を見ても分かるように対応を始めているのは大手企業ばかり。個人的に、ここ数年のローカライズの流れとコンソール市場の状況を見るに「今始めるのがアーリーアドプターの最後尾」と言って差し支えないと考えています。

これは何も「そのほうが今よりも効率的に作業できるから」移行しているわけではありません。先ほど述べたとおり、「可能な限り多くの史上にリーチする」傾向は今後も続いていくわけで、現状の EFIGS だけでなくロシア語、ブラジルポルトガル語スカンジナビア半島の各言語、オランダ語、ポルトガル語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語、アラビア語などが今後数年で「デフォルトローカライズ言語」になっていくことは想像に難くありません。字幕とテキストだけでないフルローカライズ対応言語も増えていくでしょう。それも、SimShip を前提に。これは当然なんとなく増えているわけでなく、そうしないとこの先生きのこれないからです。ソーシャルだって、投資した金額に対するリターンを最大化したいと考えるのは当然なわけで、その時、「システムと確立されたパイプライン」なしで対応していては必ず品質とスケジュールが犠牲になります。


繰り返しますが、「今始めるのがアーリーアドプターの最後尾」です。
「今始めるのがアーリーアドプターの最後尾」ですよ。
「今始めるのがアーリーアドプターの最後尾」なんです。

おまけ:SimShipの課題

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